二人の僕が見る君

目を開けると、にじんだ天井が目の前に広がった。こめかみを水滴が通りすぎて行った。

起き上がろうとすると全身に激痛が走った。両腕、両脚はギブスで固定され首から手の指の先まで包帯に覆われていた。


たしか、俺は三神堅の体にいたはず。なのにどうしてミイラみたいになっている？
潰れかけた喉で誰かを呼ぶ。

個室の前には親父とお袋がいた。

視野の右下の方で溜め息をつく親父とお袋を必死に呼ぼうとした。


すると、先に来たのは看護師さんだった。
続いて主治医が飛び出しそうな目玉を眼鏡で押さえて駆け寄ってきた。その後ろから同じような顔をした親父とお袋が歩いていた。

俺は脳死と判断されて二度と目が覚めないと宣告されていたようで、あと数時間で臓器移植されていたらしい。

間一髪で自分の体を取り戻した俺はひとつの疑問を抱いた。

なぜ、この体に戻って来ることができたのだろう。

そんなことを考えていると、彩香が息を切らして病室に飛び込んできた。

｢｣