=ウサギくんとオオカミさん=


「名前負けしてるよね。オオカミ、だもん。いつもオドオドして、ヘタレっぽくて」

「…」

「凛の方がオオカミっぽいのにね!」



ケラケラと笑いながらそう言う。
ほんとこいつ、本気で言ってんだろ。



「それを言うなら、ウサギだってまったくウサギっぽくないけどね」

「統太。言えてるー」

「二人って、名字交換した方がしっくりくるよな」

「お前ら、うっせぇ!」




好き放題言いやがって。
バカにしてんのか。
バカにしてんだろうな。


こいつらは、全く俺を怖がる様子もない。
いくら凄んでみたって、口悪く怒鳴って見たって怯みやしない。


いい加減、俺も慣れて諦め始めてるが。



ほんと、変な奴ら。



「それよりウサギ、さっきのはなに。可哀想じゃないか」

「うるせぇ。説教すんなら消えろ」

「消えませーん。生憎、ウサギの事、俺は怖くないんで」

「…腹立つな、お前」

「褒め言葉だね」




こいつ…。


< 10 / 182 >

この作品をシェア

pagetop