=ウサギくんとオオカミさん=
「名前負けしてるよね。オオカミ、だもん。いつもオドオドして、ヘタレっぽくて」
「…」
「凛の方がオオカミっぽいのにね!」
ケラケラと笑いながらそう言う。
ほんとこいつ、本気で言ってんだろ。
「それを言うなら、ウサギだってまったくウサギっぽくないけどね」
「統太。言えてるー」
「二人って、名字交換した方がしっくりくるよな」
「お前ら、うっせぇ!」
好き放題言いやがって。
バカにしてんのか。
バカにしてんだろうな。
こいつらは、全く俺を怖がる様子もない。
いくら凄んでみたって、口悪く怒鳴って見たって怯みやしない。
いい加減、俺も慣れて諦め始めてるが。
ほんと、変な奴ら。
「それよりウサギ、さっきのはなに。可哀想じゃないか」
「うるせぇ。説教すんなら消えろ」
「消えませーん。生憎、ウサギの事、俺は怖くないんで」
「…腹立つな、お前」
「褒め言葉だね」
こいつ…。