=ウサギくんとオオカミさん=


「お前、いい加減にしろよ。オオカミだってお前からしたら先輩だろうが」

「え…、そ、そうですけど…、か、庇うってことは…やっぱり…」

「庇うとか、そんな話じゃねぇだろ」

「ヤキモチだよね、凛」

「もっと違う!」



海老名の余計なひと言にグーパンチを送った。
額を抑え蹲る海老名。
ざまぁみろ。



「ひど、酷いよ、凛!」

「うるせぇ」

「まぁでも。確かによくないよ、まぁ、部活でもないしそんな上下関係厳しく言うつもりはないけど、君の大神さんへの態度はちょっとよくないかなって思うよ。大神さんは優しいから許してくれるだろうけど」

「……はい。すみません」



シュン、と肩を落とす。
垂れ下がった尻尾と耳が見えるようだ。

もちろん、虎ではなく犬の。




「でもさ、どうしてそんなに凛の事が好きなの?」

「好きって、言い方他にあるだろ」

「先輩は…俺のヒーローなんです」



< 106 / 182 >

この作品をシェア

pagetop