=ウサギくんとオオカミさん=
「お前、いい加減にしろよ。オオカミだってお前からしたら先輩だろうが」
「え…、そ、そうですけど…、か、庇うってことは…やっぱり…」
「庇うとか、そんな話じゃねぇだろ」
「ヤキモチだよね、凛」
「もっと違う!」
海老名の余計なひと言にグーパンチを送った。
額を抑え蹲る海老名。
ざまぁみろ。
「ひど、酷いよ、凛!」
「うるせぇ」
「まぁでも。確かによくないよ、まぁ、部活でもないしそんな上下関係厳しく言うつもりはないけど、君の大神さんへの態度はちょっとよくないかなって思うよ。大神さんは優しいから許してくれるだろうけど」
「……はい。すみません」
シュン、と肩を落とす。
垂れ下がった尻尾と耳が見えるようだ。
もちろん、虎ではなく犬の。
「でもさ、どうしてそんなに凛の事が好きなの?」
「好きって、言い方他にあるだろ」
「先輩は…俺のヒーローなんです」