=ウサギくんとオオカミさん=


「お前も、なに言いだすんだ」

「中学の時、よわっちくて…、弱虫で。名前に竜とか、虎とか入ってんのに名前負けだとかって同級生とかにからかわれてて」



はじまった自分語り。
それが俺とどう関係があるんだ。




「別にいじめられてたとかじゃなくて、仲いい奴らに、ネタみたくされてたんですけど、それでも…自分的には弱虫ってのが嫌で」

「名前と性格は別だもんなぁ」

「はい…。でも、名前に見合う男になりたくて。街で不良に絡まれた時、今だと思ってケンカを買ったんです」

「そこで張り切っちゃったわけ?よわっちぃのに?」




取り繕う事もしない海老名のズバッとしたツッコミ。
まぁ、もっともだよな。



「はい…。まぁ、結果は想像の通り惨敗だったんすけど、相手が悪くて、しつこく追い掛け回されて…」

「あー…」

「もうだめだって時…、先輩に出会ったんです」

「…は?俺?」



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