=ウサギくんとオオカミさん=


チャイムが鳴り、周りの奴らもそれぞれに席に着く。
落ち着いた頃に教室の戸が開いて教師が入ってきた。



「授業はじめるぞー」



数学の葛山(くずやま)。
正直、俺はこいつの事が嫌いだ。
ねちっこくて人を見下した態度をとる。



「この前の途中から行くぞ。教科書の…」



淡々と始められる授業。
俺はただ座って授業を聞いているだけ。

ノートをとる気にはなれなかった。
いつもの事だ。


カリカリとノートをとる音が聞こえる。
真面目に授業を受けてるやつ、中には別の事をしてるやつもいる。

それはどこでもいっしょだろう。




「なんだ宇佐木、いたのか」

「は?」

「ノートも開かず、やる気がないなら周りの邪魔だ」

「んだよ。静かにしてんだろ」

「お前の存在が煩いって言ってるんだ。なんだその頭は」




俺の存在に気づいた葛山は、いちいち突っ掛かってくる。
気分わりぃ。
こいつはいつだってそうだ。




< 11 / 182 >

この作品をシェア

pagetop