=ウサギくんとオオカミさん=


「宇佐木くん!一緒に帰りませんか?」

「…あ、ああ」



珍しく出ていた授業。
もうすぐ夏休み。
テスト前だし、一応でとかねぇとな。

授業後、さっさと帰ろうとカバンを持つと大神がやってきて意気揚々とそう言った。

こいつ、意外と行動力あるよな。
周りがざわついてんの全く気にしてないし。



「よかった!嬉しいです!」

「さっさといくぞ」



俺の方が気になってしまう。
急ぎ足で教室をでる。
大神は嬉しそうに笑いながら俺の後を追う。

調子狂う。



「お前、平気なのかよ」

「え?」

「クラスのやつら変に思われるぞ」



もっとよく考えて付き合うことを決めるべきだった。
こいつ、考えなしみたいだし。



「なんと思われてもいいです。私にとって、宇佐木くんといられることの方が大事です」



こんなふうに、さらっと思いがけないことを言うくらいには。



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