=ウサギくんとオオカミさん=


「中学の同級生の事、忘れたのかよ」

「覚えてねぇし、興味ねぇよ」



はっきりとそう言い捨てる凛。
そんな凛が、羨ましいと思う。

俺はそんな風にはっきりと自分の想いを口にできない。



「チッ、んだよ、せっかく仲間に入れてやろうと声かけてやったのに」

「…あいた皿、下げるぞ」



凛はそれ以上構わずテキパキと自分の仕事を進める。
そんな凛への興味は消えたのか誰も絡むことはしなかった。

凛はあいた皿を持てるだけ集めると、その場を去る。


情けない俺を見て、凛はどう思っただろう。
いつものヘラヘラ笑って明るい偽りの俺を受け入れてくれた凛。
呆れられただろうか。




それから、周りでは話が盛り上がっていたけれど、それに入ることもせずうつむいたまま時間を過ごした。
最初は絡んできた周りも、反応の悪い俺のことなんか、いい加減面倒になったのか触れることもなくなった。



最初から来なければよかった。
ただ情けなくなっただけ。
惨めで、かっこ悪くて、過去の自分に引き戻されただけだ。



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