=ウサギくんとオオカミさん=
俺は弱くて。
情けなくて、かっこ悪くて。
いくら恰好を整えたって、明るく繕ったって。
俺自身、中身はやっぱり簡単には代えられなくて。
「凛、…凛!」
店を出て、前を歩く凛を呼び止める。
凛は立ち止まると振り向いた。
「俺…、俺、ごめん…。ずっと凛に嘘ついてた。本当の俺はこんなカッコ悪い男なのに…。中学が一緒だったってことも、ずっと黙ってて…ごめん」
どうすれば情けない俺から卒業できるかな。
どうすれば凛の隣に相応しい男になれるかな。
「…別に、てか知ってたし」
「え…」
「お前の事、中学の時から知ってたし」
怪訝そうな顔。
知ってたって、どういうこと。
凛は、俺が中学の同級生だって知ってた?
あの地味で根暗でいじめられてた俺だって…。
「気づいて、たんだ…」
「気づくもなにも、別にお前はお前で変わってねぇよ」
「え…」