=ウサギくんとオオカミさん=
玄関を開けると、姉ちゃんを背負った蜂屋さんが立っていた。
蜂屋さんと飲みに行くと、大概この状態で帰ってくる。
「いつもすいません」
「いやいや、全然問題ないよ。もう慣れっこだし」
蜂屋さんは明るくて優しそうな人だ。
いつもこうして嫌な顔一つしないで送って来てくれる。
だから姉ちゃんもここまで酔いつぶれることができるんだろう。
姉ちゃんは人に頼るのを嫌がる人だから。
こんな風に甘えられる存在は貴重だ。
「上がってください。お茶出します」
「気にしないで。宇佐木さんを運んだら帰るよ」
蜂屋さんは笑ってそういうと姉ちゃんを布団まで運んでくれた。
「本当にありがとうございます」
「いいよ。僕も楽しかったし。ほんと、お姉さんは頑張り屋だよね。時々心配になる」
「少し力抜いて欲しいんですけど」
蜂屋さんはいつも姉ちゃんをこうやって心配してくれる。
姉ちゃんの理解者なんだろう。