=ウサギくんとオオカミさん=
「じゃあ、お姉さんに楽しかったです、また飲み行きましょうって伝えてね」
「はい」
「凛くんもおやすみ」
「はい、おやすみなさい」
パタン、と閉じられた扉。
暫くその扉を眺めたまま。
蜂屋さんは、姉ちゃんの事が好きだ。
ずっと、アプローチしてると聞いた。
でも、姉ちゃんの答えは決まって、今は仕事以外の事が考えられないから、だという。
それはきっと、俺のせいで。
俺の事に金がかかるから。
俺が姉ちゃんの、足かせになっている。
姉ちゃんも、きっと蜂屋さんの事が好きだ。
本人から聞いたことはないが、見てればわかる。
会社の話は、決まって蜂屋さんの事だし。
こうやって飲みに行くのだって蜂屋さんとだけ。
きっと、俺が姉ちゃんの幸せを奪ってる。
その想いは、消えない。