=ウサギくんとオオカミさん=
だから。
「宇佐木くんっ!」
嬉しそうに駆け寄ってくる大神。
俺は軽く片手を挙げ応える。
だから、俺はこんな風に満たされるべきではないんだ。
なのになんで俺はこいつの想いにこたえてしまったんだろう。
幸せに、なりたかったのか?
バカバカしい。
「お待たせしてしまいましたか?」
「いや、そんなことない」
隣に並んで歩き出す。
ワンピース姿の大神。
いつもの制服とは違う。
「どこいくの」
「あ!わ、私、行ってみたいところがありまして!」
「どこ」
「LANDっていうカフェなんですけど、パンケーキが有名で…!」
「カフェ…?」
おい。
そんなとこに俺と?
勘弁しろよ。
場違いすぎるだろ。
「ダメでしょうか…?」
「だ、めじゃ…ねぇけど…」
なんで俺は、はっきり言い返せないんだ。