=ウサギくんとオオカミさん=


だから。



「宇佐木くんっ!」



嬉しそうに駆け寄ってくる大神。
俺は軽く片手を挙げ応える。


だから、俺はこんな風に満たされるべきではないんだ。

なのになんで俺はこいつの想いにこたえてしまったんだろう。
幸せに、なりたかったのか?
バカバカしい。


「お待たせしてしまいましたか?」

「いや、そんなことない」



隣に並んで歩き出す。
ワンピース姿の大神。
いつもの制服とは違う。



「どこいくの」

「あ!わ、私、行ってみたいところがありまして!」

「どこ」

「LANDっていうカフェなんですけど、パンケーキが有名で…!」

「カフェ…?」



おい。
そんなとこに俺と?
勘弁しろよ。
場違いすぎるだろ。



「ダメでしょうか…?」

「だ、めじゃ…ねぇけど…」



なんで俺は、はっきり言い返せないんだ。



< 131 / 182 >

この作品をシェア

pagetop