=ウサギくんとオオカミさん=
連れられてきたのは、いかにもなカフェで。
…居心地が悪すぎる。
「コーヒー」
「あの、イチゴのパンケーキと、紅茶のストレートを」
前髪で隠れているが、きっと瞳は輝いてるんだろう。
声が弾んでるのがわかる。
「…」
その顔が見たい。
そう思った瞬間、無意識に伸びた手が大神の前髪をかき分けた。
「え…」
「あ…」
顔をあげた大神と、バチッと視線がぶつかる。
かき分けた前髪から大神の表情がばっちりと見えた。
「…っ!悪い」
「えっ、あ、い、いえ…」
ハッとして手を放すと、真っ赤に頬を染めて俯いてしまう。
なにやってんだ、俺。
行き場を失った手を頭の後ろに持っていきガシガシと頭を掻く。
無意識の行動に自分で驚いた。