＝ウサギくんとオオカミさん＝

｢あ、あの！悪くないです｣

｢…は？｣



勢いよく顔をあげた大神は、真っ赤な顔のままそう言った。



｢宇佐木くんなら、私、さ、触られても平気です…！少し、恥ずかしいだけで、その…嬉しいです｣

｢バッ！バカな事言ってんじゃねぇよ！」

｢は、はい…！」



忘れてた。
こいつ、見かけによらず直球ストレートな女だった。
恥ずかしすぎる。



｢おまたせいたしました｣



その時、その空気を変えるように店員がパンケーキを運んでくる。
コーヒーが俺の前に置かれ、紅茶とパンケーキが大神の前に置かれた。
そして、取り皿とフォークとナイフを置いて店員は去っていく。




｢これ、いらな…｣

｢半分こしましょう｣



店員を呼び止めようとした俺の言葉を遮り狼がそういうと、自分の目の前に置かれたパンケーキを綺麗に半分に切ると置かれた取り皿にわける。
綺麗な動作で取り分けられていくのを俺は無言で見つめた。
綺麗な指先だ、なんて考えながら。