=ウサギくんとオオカミさん=
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何が起きたのか、わからなかった。
海老名くんと朝偶然出会って合流し学校に向かっていたところで凛くんの姿を見つけた。
海老名くんが凛くんを呼んで、凛くんもそれに反応してくれていた…はずだった。
次の瞬間、凛くんの身体が傾き、階段の下へ消えていくのを見た時。
本当に、何が起きたのかわからなかった。
「大神さん、大丈夫?」
「は、はい…。なんだか、よくわからなくて…。混乱、してしまって…」
「うん…。大丈夫だよ。凛はこんな事で死んだりなんかしない」
祈るような声。
そうだよね。
本当に、そうだよね。
今、凛くんは治療中だ。
階段の下に落ちた凛くんは意識がなくて。
海老名くんが呼んでくれた救急車で運ばれた。
「凛を突き飛ばしたおばさん、誰だったんだろう…」
「海老名くんも、知らないんですか?」