=ウサギくんとオオカミさん=



「処置は終わって、命に別状はないし脳にも異常は見られないって言われた。けど頭を打ってるから意識が戻ってもう一度ちゃんと検査しないとって…。意識も、いつ戻るかわからないって言われた」

「そう…。ごめんね、辛いところに立ち合わせちゃって…。遅くなってしまって」

「そんなことないです。むしろ、現場にいたのが俺たちでよかったって、すぐに駆けつけれてよかったって…。でも、助けられなくて…」



海老名くんは自分を責めるような声でそう言った。




「バカね、そんな事気にすることじゃない。統太のせいじゃないし、助けられなかったわけじゃない。大丈夫だから」

「…はい」



女の人はそう言って海老名くんの肩を叩く。
その温かさは、凛くんに似てるような気がした。



「あ、大神さん、この人は凛のお姉さん。凛はお姉さんと二人暮らししてるんだ」

「はじめまして!あの、大神茉侑といいます」



なんとなくそうかなと思っていたけど、本当にお姉さんだったんだ。
私は深々と頭を下げた。


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