=ウサギくんとオオカミさん=


「そこで初めて私は親にばれないようにこっそり凛の様子を見に行ったの…。そこで知ってしまったの。私がしたことの重大さを」

「な、にがあったんですか…」




聞くのが怖い。
実の息子を階段から突き落とすような母親。




「私の身代わりにしていたの。小さい頃は、可愛い顔をしていたの、凛。それをいいことに、女の子の格好をさせて」

「身代わり…」

「それで、凛が成長につれて男らしくなってくると、今度は発狂して凛に暴力をふるった。暴言を吐きながら…」

「え…」

「一度、その場面を目の当たりにしたことがあるの。…とても酷いものだった」




その話は本当に辛くて、悲しくて。
そんな思いを、凛くんはずっとしていたんだ。



「それなのに凛は、暴力を振るわれてることを隠そうとして、不良たちに絡んでケンカで傷を隠してたの…。凛がいまだにケンカばっかしてるのは、その頃の行動が抜けないせい…」

「…酷い」



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