=ウサギくんとオオカミさん=


「酷い…。凛くんにそんな思いさせて、そんな事をしなくちゃいけないような…」

「…だから、私が凛を連れ出してこっちの中学に編入させたの。いろいろと手続きは大変だったけど、やっと縁を切ることができたのに…」

「探してたんですね…」

「探し出すなら私だと思ってた。だから、いつでも顔を忘れないようにって写真をスマホにいれて…。まさか、凛に接触するなんて…」




ついに心さんは、泣き出してしまった。
きっとずっと辛かったんだろう。
心さんだって、ずっと苦しんできたんだ。



「許せない…。凛をあんな目に遭わせて」




ずっと黙って聞いていた海老名くんも憤るようにそう呟いた。
許せるはずない。




「凛が、人を信じられないのも。必要以上に人と関わろうとしないのも…。私が凛を見捨てたから」

「そんな…!」

「その罪悪感から、私は今凛を必死で護ってるの。自分が許されたいだけ…」



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