=ウサギくんとオオカミさん=
「そんなことありません。凛は心さんの事、本当に大切に思ってるし、感謝してますよ」
「凛は知らないから…。私が逃げたこと…。私が家を出た時、凛はまだ小さかったし…」
でも、心さんだって自分を護ることで精いっぱいだった。
心さんだってまだ幼くて、例え兄弟でも守れるほどの力はなかったはずだ。
きっと、凛くんだってわかってるはず。
「ごめんなさいね…。こんな話。貴方たち、まだ学校あるでしょう?学校に向かいなさい。あとは私が付き添うから」
「でも…」
「大丈夫。なにかあったらすぐ連絡するから」
「…はい」
本当は側にいたかったけれど、心さんの気持ちを汲んで私たちは学校へと向かうことにした。
その道中、会話はなくて。
きっと、海老名くんもさっき聞いた凛くんの過去を思い返してるんだ。
自分はヒーローじゃない。
そう言った凛くん。
凛くんは、どんな気持ちでそう言ったの。