=ウサギくんとオオカミさん=


気づけば俺は、河川敷の高架下にいた。
雨を避け、雨宿りのように座り込んで。


ザーザーと降りしきる雨が、世界から俺を消してくれたらいい。



俺は、こんなにも弱かっただろうか。
ずっと強がってきた。
居場所を護るため。

強がって、自分を大きく見せようとして、誤魔化して。



本当の俺なんてウジウジして弱くて。




「…くん!…凛くん!!」




声がする。
少しずつ近づいてくる声。

聞き覚えのある落ち着く声。
それでも俺は、顔をあげることができずに。



「凛くん!」

「凛!」

「よかった…。こんなところにいたんですね…。怪我も治りきっていないのに…」

「心さん、心配してたぞ…?凛…」



大神と海老名。
姉ちゃんが連絡したんだろう。

会いたくなかった。
こんな姿、見せたくなんかねぇ。



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