=ウサギくんとオオカミさん=
「くんな!…帰れ!俺の事なんか、放っておいてくれ」
「凛くん…」
「だせぇだろ!お前らが見てたヒーローな俺は見せ掛けだったんだ!本当の俺はこんな…弱くて情けねぇ男で…」
声を荒げながら、顔をあげると傷ついたような大神の顔が目に入った。
あらぶっていた気持ちがしぼんでいく。
「私、言いました…!どんな凛くんも大好きだって!ヒーローな凛くんだから一緒にいたいんじゃありません!ありのままの凛くんがいいです。凛くんだからいいんです!」
「知らないから言えんだ…、本当の俺を」
「なら、教えてください!本当の凛くんを」
なんでこんな真っ直ぐなんだ。
真っ直ぐ俺を想ってぶつかってきてくれるんだ。
大神の好きに、俺はちゃんと応えられていないのに。
「凛…。俺、凛にヒーロー像押し付けてたんだよな。それくらい、俺にとって凛はヒーローだったからなんだけど…。でも、俺も、情けない凛だっていい。そんな凛だとしても、俺はずっと友達でいたいって思ってるよ」
別に押し付けだってよかったんだ。
俺の存在が、こいつらの支えになってるって知って、馬鹿みたいだって思ったけどでも。
それでも、少しでも自分がここにいてもいいんだって気になれたから。