=ウサギくんとオオカミさん=
「…茉侑」
名を、呼んでみる。
すると彼女は一瞬驚いたように目を見開いて、すぐ照れくさそうに笑った。
「こんな弱い俺でも…、生きてていいのか…?お前の側に、いていいのか?」
「もちろんです!凛くんこそ、私の側にいてくれるんですか?」
少しだけ信じられる気がした。
俺は必要とされてる。
俺には、居場所ができたのだと。
「帰りましょう」
「…ああ」
ああ、いつの間にか俺にはこんな居場所ができてたのか。
差し伸べられた二つの手。
この手を、俺は取ってもいいのか。
真っ直ぐな想いに俺は、救われた気がした。