=ウサギくんとオオカミさん=
=4=
幸あれ
「姉ちゃん仕事行ってくるから、ちゃんと寝とくのよ」
「…わかってる」
雨に打たれたせいか俺は熱を出して寝込んでいた。
弱くて情けない。
あの日、茉侑と海老名に連れられアパートに戻ると、目を真っ赤にした姉ちゃんが迎えてくれた。
“心配したでしょ!”
そう言って俺を抱きしめて泣いた姉ちゃん。
ここにいてもいいのか、そう問うた俺に間髪入れずに当たり前だと答えた。
“ごめんね、自分が逃げたせいで凛に辛い思いさせてた後悔があって、引け目を感じてた。その引け目が凛に伝わってたんだね”
姉ちゃんはそう言って俺に謝った。
別に母親が俺にしてきたことは姉ちゃんのせいじゃない。
そんなこと、考えたことなんてなかった。
それを告げるとまた姉ちゃんは声をあげて泣いた。
ずっと、苦しんでいたのは姉ちゃんも同じだったのかもしれない。
俺が姉ちゃんに申し訳なく感じてるのと同じように姉ちゃんも…。