=ウサギくんとオオカミさん=
「…はいれば」
「い、いいんですか…?」
「ああ…、狭いアパートだけど」
「そんな…。お邪魔します」
手にはスーパーの袋を下げていて、心配してきてくれたことがわかる。
ほんと、なんでこんな俺のために動いてくれようとするんだ。
“好き”ってそう言う事なんだろうか。
好きな人のためにはって…。
「あの、熱の方は…」
「あー、測ってないけど、だいぶ下がったんじゃねぇかな」
「測ってください。それから起こしておいてあれですが、横になっていてください」
言われるままに布団に戻って横になる。
キッチンを借りると声をかけた茉侑は何やらゴソゴソしている。
「あの、お姉さんには許可いただきまして…」
「なに、姉ちゃんと連絡先交換したわけ?」
「あ…、はい。あの、この間の時に…」
「ふぅん」
いつの間に。
まぁ、別にいいけど。
紹介するつもりだったし。
結局ちゃんとした紹介できてないけど。