=ウサギくんとオオカミさん=


「すみません、私ちょとお手洗いに…」

「あっち、つきあたりを右だよ。一人で行ける?」

「はい。ありがとうございます」



パタパタと慌ただしくトイレに行く大神を見送る。
姿が遠ざかったのを確認し、俺は海老名に向き直った。



「おい」

「ん?」

「どういうことだよ、今日のこれは」

「どういうって。ああ、俺と大神さんが連絡取ってたこと?なに、妬いてるの?」

「ふざけてんじゃねぇ!」



時々こいつのこういう調子のいいところが腹立つ。
すごんで怒鳴りつけると海老名は肩をすくませた。




「連絡先を聞き出したのは俺の方だけど、今日の事を提案したのは大神さんの方だよ」

「なんで」

「なんでってわからないなら相当の馬鹿だよ」

「なっ…!」




コイツは言いたいことをずけずけと。


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