=ウサギくんとオオカミさん=
「あいつが友だちいないとか嘘だろ…」
放課後、うんざりした気持ちで海老名と帰りながら。
昼間の事を思い返して聞いた。
確かに俺が教室にいる時、誰かといる姿は見た事ねぇけど。
あれだけ俺に対してずけずけ来れるんだ。
「俺はウサギとは違って真面目に授業うけてるけど、俺も大神さんが女友達といるの見たことないよ」
「前振りいらねぇよ」
「ウサギとは違ってね」
「言い直すな、アホ」
「でも」
ケラケラとおかしそうに笑いながらも、気を取り直し真面目な顔をする。
俺はムッとしながらも海老名のその後の言葉を待った。
「たとえ、他の人たちにはうまく話したりできなくてもさ。ウサギにだけは素を出せるのかもしれないじゃん」
「はあ?」
「ほら、ウサギはさ確かに口悪いし乱暴者だけど、一生懸命な子をバカにはしないでしょ」
「そうか?」