=ウサギくんとオオカミさん=
「例えばさ、言ったことに対して否定はする。今日の球技大会のことだって嫌だってはっきり言ってたしね」
「…ああ」
「でもさ、大神さんがどもったり必死だったりする様をさ、馬鹿だなってださいとかって貶したりしない」
「貶してどうすんだよそんな事」
海老名の言おうとすることがよくわからん。
「俺、大神さんが他の事話してるのは見たことないけど、他の人が大神さんの事言ってるのは聞いたことあるよ」
「大神のこと?」
「どもって、必死で可愛そうな子。だって」
「はあ!?」
海老名を睨みつけてハッとする。
今のは海老名の言葉じゃない。
海老名を怒鳴りつけるのは違う。
んだよ、あいつそんな風に言われてんのか。
「ほらね。ウサギはそれに怒れる奴じゃん。だから、大神さんだってウサギには一生懸命自分の思うことが言えるんだよ」
「…知った風に言うんだな、ずいぶん」
「俺もそうだからね」
「あ?」
「なんでもないよ」