=ウサギくんとオオカミさん=
「てか、なんであいついんだよ。行事とかサボるんじゃねぇの?」
「ほんと、求められてねぇんだから大人しくしとけよなー」
整列のために海老名に連れられてコート内に入ると、相手チームのこれまたまったく顔も名前も知らねぇ奴らがひそひそとやってやがる。
「ああ?聞こえてんだよ。堂々といいやが…」
「ウサギ!」
ケンカはしっかり買ってやるよ。
そう意気込んで真っ直ぐそいつらの元に突っ込んでいこうとするのを海老名に襟元を掴まれ止められる。
ギロッと海老名を睨みながら振り返ると、海老名にダメだと首を横に振られた。
くそ。
「わかってるよ」
俺が行事に出ることで、ああいう事をいうやつがいることくらいわかってた。
だから嫌だったんだ。
球技大会なんかキャラじゃねぇし。
チームプレイなんか絶対無理だ。
やっぱりそもそも参加したのが間違いだった。