=ウサギくんとオオカミさん=


「楽しかったね」

「…べ、別に」



自分の競技を終え、大神の応援にやってきた。
海老名が意味深な笑みを浮かべてそういう。



「ウサギはさ、自分の事低くみすぎなんだよ。ちゃんと接すれば周りだってちゃんとわかってくれるのに」

「…うるせぇ」

「短気は損気っていうだろ。ほんと、損してるよ」




いくらそうだとしても。
もうそれは変えようのない俺の性格だ。
直せと言われたって、簡単には直せない。



“う、うん!やったよ!宇佐木くん!”



さっきの光景が脳裏に浮かぶ。
あんな風に、ビビられずに怖れられずに話したりできるようになる…。



「んなの、無理に決まってんだろ」



もう、俺についたイメージは今更払拭することなんてできねぇよ。




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