=ウサギくんとオオカミさん=
「なにも知らねぇから、あんなこと言えるんだ」
「ん?大神さんのこと?」
「……」
そもそも。
あんな俺に対してビクビクしてたくせに、なにが好きだよ。
よく言えたぜ。
「あー、だるい。帰る」
「ちゃんと謝った方がいいよー」
「なにが」
「あんな態度とってごめんって。告白なんて初めてだったから緊張したって」
「誰がだ!!」
いい加減、ウザいぞこいつ。
他人事だと思ってバカにしてんだろ。
海老名はいつもこうやって俺を茶化して遊んでる。
こいつもなにが楽しくて俺に引っ付いてくるんだか。
ケンカばっかに明け暮れて、ギスギスした俺の周りに。
なんたってこんな爽やかな男が、といつも思う。
海老名は多分、一般的にモテるタイプの男だ。
頭は天パらしいがパーマいらずの茶髪。
身長だって…俺より…ちょっとだけ高いし。
少したれ目の爽やかそうな見た目で女受けはいい。