=ウサギくんとオオカミさん=
目の前に差し出された袋。
それを差し出すのは真っ赤な顔を前髪で隠した大神茉侑。
「あ、あの、ありがとうございました!」
「お、大袈裟」
そこまで仰々しくお礼を言われると戸惑うし引く。
ジャージは綺麗に洗濯されている。
それに加えて可愛い柄の小さな紙袋が入っている。
「なんだ、これ」
「あの、お口に合うかわかりませんが…」
「あ?…クッキー?」
中を覗くとクッキーが入っている。
星形やハート型のクッキー。
「もしかして、手作り?」
「え、あ、はい。あの、海老名くんも…」
「え、俺もいいの?」
「もちろんです」
俺だけじゃねえのかよ。
………ん?なに考えてんだ俺は。
こんなの、まるで嫉妬じゃねえか。
「ん?どうした?ウサギ」
「べ、別に!」
「えー?顔赤いよ」
「なんでもねえよ!」
くそ、海老名のやつ。