=ウサギくんとオオカミさん=
「へぇー、ふぅーん、知らなかったなぁ。大神さんには話したんだぁ」
「偶然だ!偶然!コイツにも言うつもりなかったんだよ!」
意味深な腹の立つ顔を向けニヤニヤと笑う海老名に心底むかつく。
一方ばらした張本人は青ざめた顔して口を抑えてアワアワしているし。
「す、すいません…、宇佐木くん…その…」
「別に!言ったもんは仕方ねぇだろ。…まぁ、こいつだし。どうでもいいわ」
「優しぃ―!」
「お前、コロす」
いい加減腹が立ち、ゲシゲシと足蹴りをくらわせる。
海老名は大げさに痛がりながらも、まんざらでもない様子だ。
こいつ、実はものすごいドМなんじゃねぇのか。
「でも、そっか。じゃあこのクッキーはウサギ用ってことか」
「え?」
「俺には少し甘すぎるから」
「あっ!す、すいません。そこまで考えがいたらなくて…!」
「別にこいつの事なんかどうでもいいんだよ」
「え、何、ヤキモチ?」
「ちげーよ!」