=ウサギくんとオオカミさん=
「今度、私がいるときに連れてきてよね」
「は?なんでだよ。十分喋っただろ」
「足りない!足りない!足りなーい!」
「うるせぇ、酔っ払い」
姉ちゃんなんかに会わせたら、根掘り葉掘りいろいろ聞き出して面倒なことになるに決まってる。
大神が圧倒されるの間違いない。
この前すでにその状況だったし。
もう帰る手前だったからすぐ追い出したけど。
「あーもう、ほんと、凛は可愛いわね」
姉ちゃんがそう言って頬を緩めた。
「俺は、可愛くねえ!!!」
そんな姉ちゃんに俺は瞬間的に怒鳴りつけていた。
ハッとして姉ちゃんを見る。
姉ちゃんは、良いで赤らめていた顔をサーッと青ざめさせた。
「ご、ごめ、ごめん、凛…そんなつもりじゃ…」
「……悪い。違う。…そうじゃ…」
無意識に怒鳴りつけていたことに混乱し、俺はガシガシと頭を掻くと逃げるように自分の部屋に飛び込んだ。