=ウサギくんとオオカミさん=
「統太-!ご飯できたわよー!」
1階から呼ぶ声。
海老名の母親の声だ。
「はーい。じゃあいこっか」
「…ああ」
俺はもっと、気楽な感じを想像してた。
泊まりに行くっつったって、ご飯なんか適当にコンビニ飯とか。
海老名が実家暮らしだって頭になかったのが悪かったけど。
「凛くん。おまたせ。口に合うといいんだけど」
「…いえ。あの、すみません」
「いいのよ。賑やかになって嬉しいわ」
「あれー、お兄ちゃんの友だち?」
パタパタと遅れたように階段を降りる音が聞こえ、リビングの扉が開くと海老名によく似た女が入ってきた。
「陽菜(ひな)。ああ。俺の友だちの宇佐木凛。凛。妹の陽菜」
「…ああ。よろしく」
「よろしくお願いします!うわー!かっこいい!なんか、強そう!護ってくれそう!お兄ちゃんとは大違い!」
「おい、それどういう意味」
妹というその子は、俺を見て目を輝かせる。
何がそんなにはしゃぐことがあるんだ。