=ウサギくんとオオカミさん=
「お、お、おはようございます!」
「………」
今はもう昼で、おはようの時間でもない。
まぁ、それは俺が今登校してきたからで。
乱暴にいつものごとく扉を開け中にはいると、教室内の空気が一瞬でピシッと張り詰めた。
胸糞悪いがこんなこといつもの事。
そう。
ここまではいつも通りだった。
それが。
自分の席に歩き出した俺の前に突如現れた人影に、思わず足を止めた。
そんな俺に、勢いよく頭を下げたその人影がドモリながらそう言った。
「おはよう、って言ってるよ、ウサギ」
「…はっ?」
いつの間に現れたのか、海老名が俺をつついてそう言った。
言われて再び目の前の奴を見ると、顔を真っ赤にさせ俯き気味の昨日の女。
なんだっけ、オオカミ…?
って、なにこいつ昨日の今日で挨拶してきてんの。
しかもこんなビビりながら。