=ウサギくんとオオカミさん=
どん!!
「ブッ!?」
突然後ろから追突され、扉に顔面を強打する。
な、なんだよ!?
「ご、ごめんなさい…!大丈夫ですか!?」
「な、何すんだよ!ブス!」
振り向くと、見るからに地味で暗そうな女がオドオド謝ってくる。
僕はとっさに、そう怒鳴りつけた。
女になめられちゃいけない。
先輩に相応しい男になるためには!
「すみません…!」
その女は挙動不審に頭を下げながら謝り、そのまま屋上に出ていってしまった。
この先には先輩がいるというのに!
あんな地味な女を近づかせるわけには…!
「宇佐木くん!」
呼び止めようと飛び出そうとした僕の耳に、その女の声が届く。
一瞬フリーズし、その言葉の意味を頭の中で繰り返した。
宇佐木くん…。
宇佐木…くん…?
「んだ、お前も来たのかよ」
「はい!来ました!」