=ウサギくんとオオカミさん=
「あ、あ、あなたは先輩のなんなんですか!さっきからすごく失礼だ!先輩に向かっての口のきき方といい!なってない!」
「なってないの?俺…」
男はへらへらと余裕の笑み。
悔しい。
「先輩にはもっとふさわしい人がいるはずです!こんなヘラヘラ弱小そうな爽やかイケメンと…それから、そんな地味女なんかといるなんて!」
ガン!!!
先輩が屋上の扉に拳を叩きつける。
ビクッと肩を震わせ身を固める。
「なんでてめぇに指図されねぇといけねぇんだ」
「で、でも…っ」
凄みを聞かせた先輩の迫力に、声が震える。
初めて先輩に出会った時と同じだ。
それが自分に向けられると、こんなにも恐ろしいものなんだ。
「胸糞悪い」
先輩はそう言い捨てると僕を通り過ぎて階段を降りていった。
「え、今の俺たちを庇ってくれたの?それとも大神さんのこと?」
「うるせぇ。まぁ確かに、お前がヘラヘラ弱小爽やかってのはあたってるかもなー」
「ひど~!」