=ウサギくんとオオカミさん=
男も先輩を追うように階段を降りていく。
なんで、先輩…。
僕の事覚えてもいなかった。
それくらい、想定の範囲内だったけど。
あんなに、キレられるなんて…。
気にいられて、一番弟子になりたかったのに。
「あ、あの…、大丈夫ですか?」
「…はっ!?なんだよ」
「い、いえ。すみません…。落ち込んでいるように見えたので…」
一緒に行ってなかったのかよ。
地味女が僕を憐みの目で見る。
自分がちょっと、パシリとしてでも先輩の側にいられるからって勝ったつもりかよ。
今に俺だって先輩の右腕になってやるんだ。
「あの。…私、大神茉侑といいます。えと虎太郎くん…?」
「な、なんで下の名前なんだよ!さんって呼べ!」
「え、あ、すみません。竜崎さん…」
「…っ。じょ、冗談だよ!別に虎太郎でいい!」
そんなんで、親近感もたせたつもりかよ。
くそ、いちいち上からでむかつく。