=ウサギくんとオオカミさん=
「じゃ、じゃあ、僕だってお前の事茉侑って呼ぶからな!」
「え、あ、はい」
「って。僕はお前と仲よくなりたかったわけじゃないのに!!」
こんなはずじゃなかった。
先輩の事、怒らせるなんて…。
「宇佐木くんの事、お好きなんですね」
「はっ!?すっ!?誤解招くようなこと言うなよ!ただ、憧れてるだけ!先輩みたいなカッコいい男になりたいんだ」
先輩は、僕にとって唯一無二のヒーロー。
「宇佐木くんみたいな…ですか」
「そう。喧嘩が強くて誰にも怖れられる無敵の男!宇佐木凛!だろ!」
「そうでしょうか…?宇佐木くんは、とてもお優しい人ですよ」
「や、優しい!?お前、先輩のどこ見てんだ!あんな強くてかっこいい人を!」
全然わかんない!
優しいなんて、先輩のイメージと正反対じゃないか。
「虎太郎くんは、宇佐木くんにみんなに恐れられて欲しいんですか?」
「そ、そりゃあ。その方が、かっこいいし」