僕らのチェリー
気温は四十度に近いと今朝の天気予報でいっていた。
そんな中で動けば、自然と頭は朦朧としていく。お互いの顔は疲れていて顔は真っ赤になっていた。
あたりに自動販売機を探してみるが、駅から離ればすぐ田舎のこの町だ。所々に家が建っているだけで、あとは田んぼばかりが広がっていた。
するとヨネがなにかを発見して遠くを指差した。
「オアシス、見ーっけ」
オアシスと称じられたその場所はこの町にたった一つしかない小さな公園だった。
二人はそこへ駆け込むとさっそく水道場に向かった。
蛇口から出る水が太陽の光に反射してきらきらと輝く。
澪はその水で顔を洗った。
ひんやりと冷たく、さっきまでの怒りをおさめるにはちょうどいい水温だった。
「勝手に店抜け出してごめんね。もっと話し合うことがあったのに」
ブランコに座って風にあたりながら、澪は申し訳なさそうに呟いた。
「気にすんなよ。あれ以上話し合ってもあいつのあの態度だったらたぶんきっと何も解決できてなかったと思うし。
それにキョウが悪いんだから気にすんな」
ポンポンと肩を叩くその大きな手は優しい。
澪はありがとう、と言った。