僕らのチェリー
「でも今回のことはおれも反省してるよ」
「どうして?」
「自業自得とまでは言わないけど、キョウの言うとおりあの男と奈美の二人の問題だと思うんだ。そこにおれらが入ってどうこう言う問題じゃない」
澪もそれはよく分かっていた。
二人自身が変わらなきゃ、周りが何を言ったって変わらない。
「でもあたし奈美の気持ちすごく分かるから。
自業自得とかそんなこと奈美が一番よく分かってるよ。
それでも会いに行くのはあの男が好きな気持ちがまだ心の中にあるからだと思うの。
最低な男だけど、奈美はあの男がすごく好きなんだよ。
どんなに離れたいとか嫌いになりたいとか思っててもそばにいたいのが好きな気持ちだから。
だからあたしは奈美をほっとけない。
見て見ぬ振りなんてできない」
そんな奈美の気持ちを知りながら、あの男はそれを利用している。
それが悔しい。
澪はぎゅっと唇を結んだ。
「そうだよな」ヨネは静かに頷いた。
「どんなに忘れたくても忘れられないのも好きな気持ちがあるからだもんな」
ブランコを揺らしながら彼は前を向いて、遊具で無邪気に遊ぶ子どもたちをじっと見つめていた。