僕らのチェリー

気まずい空気が二人の間を流れた。


「うんそうだな。ごめん」


ヨネが謝ることではないのに彼は少し笑ってまたごめん、と呟いた。

幼い時からずっと一緒にいた恭介を責めないのはきっと心優しい彼なりの気遣いだろう。


「あたしのほうこそごめん。ちょっと言い過ぎた」


澪が謝るとヨネは首を横に振った。

それから彼はそれまでの空気を断ち切るように明るくいった。


「他にも部屋に写真あるけど見てみる?」


ヨネとは高校からの付き合いでそれまでの彼を知らなかった。澪は彼がどんな風に育ったのか興味があった。


「うん、見たい」


初めて入るヨネの部屋は実に彼らしいと言うものだった。

スポーツが大好きなだけあって、サッカーやバスケなどそれぞれの選手のポスターが何枚か貼られている。名前は思い出せないが、皆見たことのある顔ばかりだ。


「ごめん、ちょっとアルバム探すわ」


とヨネは本棚をあさり始める。その中はやはりどれもスポーツ関連の本や漫画。

部屋を見渡し、その散らかっている様子から考えるとアルバムが見つかるのは少し時間がかかりそうだ。

ヨネが探している間、澪は机の前にあった椅子に腰掛けた。

そして、目に入ったその小さな写真。

窓枠の隅に、それは貼られていた。
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