僕らのチェリー

黒板を背景に二人は寄り添うように並んで、笑っている。

その笑顔はとても幸せなもので見てる方も穏やかな気持ちになる。

杏奈先生ってこんな顔だったっけ。

あれから半年が過ぎようとしている。もう風化しているのかと思うと、時は残酷で早いものだと感じた。

ヨネのこんな穏やかな笑顔も写真を見るまで久しく見ていなかった。


「ねえ」

「ううん?」


まだアルバムは見つかっていない。

ヨネは本棚から本を出しては入れてその行動を繰り返していた。


「もしあたしの好きな人がヨネだったらどうする?」


何気ない一言。

いや、澪にとってその一言は。

窓から見える夕焼けの景色の中でカラスが飛び舞っている。

橙色に照らされている彼の顔は大きく目を見開いて、驚いていた。




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