僕らのチェリー


「どうしてそんなことしたんだよ。
アンナ先生は二度と戻ってこないんだぞ。
おまえは人の命を奪ったんだぞ。
なのにきょうまでずっと何もなかった振りをしておまえ人としておかしいよ。
ちゃんと分かってるのかよ」


ヨネは涙を流していた。

拳が悲痛の叫び声をあげている。

やがて恭介が倒れて仰向けになった。傷だらけの顔を拭った彼の手は真っ赤な血で染まっていた。


「分かってる」


恭介は目頭をおさえていった。


「ちゃんと分かってるよ。
先生はもう二度と戻ってこないんだよな。
おれは取り返しのつかないことをしたんだ。
おれが先生を殺したんだ。
やり直せるものならやり直したい。
そしたらおれは先生をもっと。
どうしよう、おれ。
先生にひどい事しちまった…」


杏奈先生に謝っても謝っても足りない、と繰り返した。

何度も何度もごめん、と。

そこに憎たらしい笑みを浮かべるいつもの恭介はいない。

罪悪感に苛まれて肩を微かに振るわしながら泣きじゃくる彼の姿が目の前にあった。
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