僕らのチェリー
5.夢の真実
外で、誰かのはしゃぐ声が聞こえる。
窓を開けると、次々と生徒が帰宅に向かいながら校門を通るのが見えた。
「笠原、秋谷。悪い。もう帰っていいよ」
頬の傷跡に貼った絆創膏に手を触れながら、ヨネは言った。
時計はもう五時を指している。あの喧嘩の後に恭介が職員室に連れられてから、既に四時間が立っていた。
刻々と時間が進む中、ヨネと奈美、澪の三人だけが教室に残っているが、未だ恭介は戻ってきていない。
「あたし、恭介が戻ってくるまで待ってるよ」
「奈美も」
ヨネは申し訳なさそうに力なく笑った。
「ありがとう。ごめんな、俺があんな喧嘩を起こしたから」
「そんな事ないよ。奈美はヨネは悪くないと思ってる」
と奈美が強く言った。
そういえばあの喧嘩が起きた時、彼女はずっと教室にいた。ヨネと佐藤の喧嘩の原因を知っているはずだ。