僕らのチェリー


「今でも前と変わらないぐらいアンナ先生のことが好き?」


まるで、自分の口が自分の口ではないみたいに勝手に動いて。

こんな事聞きたくないのに。

心がその答えを待っている。


「聞きたい?」


顔を上げた先に、ヨネは困ったように眉を寄せて笑っていた。

それは無理矢理笑顔を繕っているようにも見えた。

ミーンミーン、と蝉の鳴き声はいつまでも止まない。

ヨネの唇がゆっくりと開いた。


「今も前と変わらないぐらい、前以上にアンナ先生が好きだよ」


胸がひどく痛んだ。

ばかだ。

あたしはばかだ。

分かっていたはずなのに。

彼の気持ちを確かめるようなことをして、一体なにになっただろうか。

言えば言うほど、確かめれば確かめるほど彼は先生を求めてしまうのに。

あたしは、ばかだ。
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