僕らのチェリー
恭介は一体ヨネと会ってどうするつもりなのか着くまでの間、澪は気がかだった。
着いて早々、恭介は店内に入り買い物かごを手にして商品を物色する。
カウンターで店番をしていたヨネが二人揃って突然やってきたことに目を丸くしていた。
彼にどうしたの、と聞かれても澪は首を傾げるだけで答えなかった。
無言で店内を歩き回る恭介の意図が分からず、その様子をただ見守る。きょとんとしているヨネを尻目に、澪はどうしていいか戸惑っていた。
今は会いたくなかったのに。
彼の気持ちを聞いた後では笑うことさえもままならない。
どうしても顔がひきつってしまう。
「これいっぱいになるまでおまえの好きなもの買え」
見かねた恭介が突然澪に差し出したのは、店内に置いてあった空の買い物かごだった。
「でもあたしお金持ってない」
すると恭介はおもむろにお菓子や雑誌、未成年にも関わらずお酒まであらゆる商品を澪の買い物かごの中に詰めていった。
段々と重みが増してかごを持っているのが精一杯だ。
「おれが全部買ってやる。だから遠慮しないで好きなもの買え」
「好きなもの買えって言ったって」
かごの中はすでに入りきらないほどに商品で埋め尽くされていた。それでも次々と追加する恭介の行動に澪は困惑していた。
彼が一体何を考えているのかさっぱり分からなかった。