僕らのチェリー


「ねえ、ヨネ」

「うん」ヨネが丸っこい目を向ける。

「また来月も一緒に連れていってくれる?」

「どこに?」

「学校。来月の四日も一緒に行きたい。だめかな?」


ヨネは小さく笑って、首を横に振った。


「もちろん。アンナ先生きっと喜ぶ」


あたしは逃げてばかりの臆病者だ。

どんなに悲劇のヒロインを気取っても、彼が先生を想う気持ちは変わらない。

でもそれと同じように、あたしが彼を想う気持ちもまた変わらないのだ。

だから今できることは。

図々しいかもしれないけど、彼のそばにいたいという自分の気持ちに素直になることなんじゃないかと思った。
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