僕らのチェリー
4.ほろ苦い雪の中
ざくざくと雪の道に足跡をつけながら、澪は空を仰いだ。
真白い空が広がっていた。
まるで杏奈先生のように透明感のある雪の色だ。
「おれ、アンナ先生のことが好きです。すごく大好きです。
先生はおれのこと生徒としてしか見ていないかもしれないけど、おれはアンナ先生のこと一度も先生だと思ったことありません」
杏奈先生の顔はよく見えなかったけれど、きっと困っていたと思う。
彼の表情がみるみるうちに曇って傷ついた顔をしていたから。
結局、杏奈先生の口からはちゃんとした返事は聞けなかった。
「ごめんね、ヨネ君。ちょっと時間をくれないかな?考えたいことがあるの」
杏奈先生はそう答えたけど、どうするのだろうか。
考えたいことって何だろうか。
生徒と先生という関係?
教師という建て前?
それとも。