求めよ、さらば与えられん
悲しそうな顔をするジーン王子。こんな顔もできるんだ……。


そっと頬に触れると驚いた顔をした。



「貴方も騎士団の人たちも悪くない。 悪いのは密猟者でしょ? だから謝らないで……助けてくれてありがとう」



頬に触れる私の手にジーン王子の手が重なった。こんなにも安心するこの手の温もりを、私はいつまで感じられるだろうか。いつまで許されるだろうか……。



「それに嬉しかったよ」

「嬉しかった?」

「あの時私の名前を呼んでくれたでしょ? 貴方に名前を呼ばれて嬉しかった」



初めてちゃんと名前を呼んでくれた。あの時感じた胸の高鳴りを私は忘れないだろう。


ジーン王子が微かに笑った気がした。だからなのか、私まで自然と笑ってしまった。


ジーン王子はポケットから小さな箱を取り出すと、私に差し出した。



「遅くなったが誕生日プレゼントだ」

「え!? 私に!?」



まさかジーン王子からもらえるとは思ってなくて、ビックリした。


身体を起こそうとする私の背中をジーン王子が支えてくれた。枕を背中に挟み、ベッドの上に座った。


小さな箱を受け取って、信じられない気持ちと嬉しい気持ちで箱を凝視した。





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