求めよ、さらば与えられん
リュカさんは笑いながら屈むと、ルネ王子と目線を合わせた。



「グレース王女とのご挨拶が終わりましたら、昼食はベアトリーチェ殿ととられてはいかがですか?」

「いいの!?」

「リュカ! 何を言ってるんですか!?」



慌てるゴルチエさん。直ぐに標的は私に変わり、キッと睨まれた。ルネ王子からはキラキラした目で見られてる。


これ完璧巻き込まれた。リュカさんってば……。


私もルネ王子と目線を合わせた。



「今日は賑やかな昼食にしたいと思っていたところです。 お昼ご一緒させて頂けますか?」

「喜んで!」



ルネ王子は私の首に腕を回すとギュッと抱きついて来た。


いつも本ばかり読んでいて、こんなに明るい人だと知ったときは少し驚いた。静かに本を読んで居る時の綺麗な顔のルネ王子も好きだけど、こうして年相応な顔をしているルネ王子も好き。



「お願いがあるのですが……」

「お願い?」



ルネ王子は私から少し離れると首を傾げた。



「同僚のロアナも誘っても宜しいですか?」



そう言うと、リュカさんの眉毛がピクリと動いた。


いつも巻き込まれてるばかりの私じゃないんですからね。



「いいよ! 時間になったらリュカを薬室まで迎えに行かせるよ」

「ありがとうございます」



ルネ王子たちと別れて一人になると、頑張って抑え込んでいた胸の騒めきが酷くなった。


グレース王女が来る理由って?


そんなの決まってるよね……ジーン王子に会いに来たんだよね…?会うのに理由なんて要らない関係だもん……。


思わず溢れた涙を静かに拭うと、柔らかな風が吹いた。その風は慰めるように体を包み込んでくれた様な気がした。





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